Experience
"WA" Stay
2018.06.20
haletto houseの向かいにある喫茶店「腰越珈琲」。haletto houseのキッチンにあるケトルを持っていくと、マスターの米田順二さんがケトルいっぱいにコーヒーを注いでくれます。
米田さん:「だいたい5・6杯ぶんかな? キリよく1000円で提供しています。腰越にはコンビニがないし、部屋でいつでもコーヒーが飲めたらうれしいんじゃないかと思って。朝ごはんを食べにきてくれる人たちもいますよ。お向かいなので、玄関が開く音で分かるんです。あ、くるなって(笑)」
もともとは大学のヨット部の合宿所だったという日本家屋は、米田さんが「後からつくることのできない魅力のある物件を」と不動産屋さんにリクエストして探し当てた場所。天井が高く、カウンターとソファ席のあるメインスペースの隣には6畳の和室も。そのさらに奥には3畳の和室や4畳の洋室などがあり、個室席としてはもちろん、ヨガ教室や編み物教室の会場としても活用されているのだそう。
米田さん:「のんびり過ごしてほしいから、ソファ席同士の間隔も広めに取っています。なるべく制約をなくしたいので、ペットもOKですし持ち込みもOK。例えば、海で朝どれ地魚のフライを買ってからきてくれてもいいんです」
腰越珈琲がオープンしたのは3年前。それまで米田さんは南国・サイパンで10年間暮らしていました。
米田さん:「若い頃はメーカーの営業として、寝る間も惜しんで働いて、遊んで……という生活をしていたんですが、あるときふっと気が抜けてしまって。知り合いのツテでサイパンに渡り、ホテルやレストランで飲食業に携わりました。何より家族を大事にする国民性だったり、ご近所が全員顔見知りだったりする環境が不思議と肌に合って、気付けば10年が過ぎていました。第二の故郷ですね」
サイパンでの経験を活かし、日本で飲食店を開こうと決めた米田さん。ところが、米田さんがサイパンにいた10年間で日本はすっかり様変わりしていたのです。
米田さん:「日本も変わったし、僕も変わったのかな。都会は人の歩くスピードも時間の流れも早過ぎて、ここではとても暮らせないと思いました。そんなとき、サイパンで知り合った友人が腰越で飲食店を開いていると知ったんです。『しばらくうちで暮らして、腰越が自分に合うか試してみればいいよ』と言ってもらえたのでお言葉に甘え、2週間ほど腰越で過ごしました」
その友人とは、腰越珈琲の裏手にある「PIGGY’S KITCHEN」オーナーの平井さんなのだとか。
米田さん:「ご近所同士が顔を合わせれば挨拶をして、神社やお寺で開かれるお祭りには町中の子どもたちが集まって、腰越には、僕が子どもの頃の日本がそのまま残っているんですよね。海も山もあって、野良猫も多いしタヌキやリスもいる。人間以外の動物が多いところはサイパンにも似ていて、すぐに気に入ってしまいました」
喫茶店という形態にこだわりはなく、「このあたりにはコーヒーが飲める店がなかったから……しらす丼とかは、専門店があるのに邪魔するのも、ねぇ」と笑う米田さん。
米田さん:「持ち込みOKにしているのは、メニューが増やせないからでもあるんです。僕ひとりでやっている店なので、どうしても限界があって。お客さんが多いときにはお待たせしてしまう場合もあるので、後の予定があるときには向いていない店かもしれません。でも、時間を気にせずのんびりと過ごすひとときも、僕がこの店で提供したいもののひとつ。忙しい日常から少し離れて、ゆったりとコーヒーを楽しんでもらいたいと思っています」
Category
Accomodation